「低リスクで思い切ってチャレンジして欲しい」

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シェアレストランオーナーインタビュー

投資をかけない間借り出店がここ数年で盛り上がりを見せている中で、ライブ演奏可能な本格的すぎるミュージックシェアレストランが誕生しました。従来の間借り店イメージとは一味違った隅々にまでこだわりぬいた店舗を開業したオーナーの思いとは?

経堂 bar PENTA/横江 泰男 オーナー

一般的な不動産と違い、間借り店舗のオーナーと利用者は一心同体です。間借しする側のオーナーの気持ちは開業希望者にとって気になるところです。ライブハウスでもあり、本格的なカウンターバーでもある、この独創的な店舗オーナーにシェアレストランマガジン編集部がインタビューを行いました。

俳優の吉田鋼太郎さんに似てらっしゃいます!

よく言われますが、違います(笑)。先日は全くの赤の他人にも言われました。

「失礼しました(汗)。大手外資企業で活躍されていたにも関わらず、思い切った事をされましたね?」

外資企業の営業、営業企画、マーケティングなどやりがいのある業務を担当させていただいておりましたが、50歳になった頃、残されたサラリーマン生活を思った時に「自分が最終的にやりたいことはなんだ?今の自分に何が出来る?」と考えました。しかしそれは社内にはなかった。自問自答を続けた末、大好きな音楽鑑賞やギター演奏、ライブハウス巡り、自分の幸せはそれら「音楽」の中にあると確信しました。特に、ライブハウスの非日常性には多くの活力をもらっていた事からその存在意義に強く惹かれていきました。

「この独創的な店舗を作ろうと思ったきっかけを教えていただけますか?」

ライブハウスに対する理想はどんどん膨らんでいったのですが、どうしたらその理想と現実のギャップを埋められるのかを常に考えていました。「ライブハウスは聞くだけでなく、ライブ後余韻に浸れる場所が必要だ。そのためにゆったりくつろげるカウンターバーをつけたい。」「ライブ以外にもお酒を呑みながら気軽に音楽の話ができて、ジャムセッションもできる空間にしたい」「女性一人でも来られる店にしたい」「そのためには男女別の綺麗なトイレを設置したい。」「禁煙にしたい」など、いかに理想の店を作れるか、資金計画、場所、人脈を含めて考え続けました。考えるだけでなく、「ミュージシャン」への声がけも行っていました。店もないのに(笑)。

「構想5年ですか!?ちなみに経堂へ出店されたのは何か訳でもあるのですか?」

経堂は住み慣れた大好きな街であること。そして小田急線経堂駅は世田谷区の中でも乗降客が多く(約7万人)ビジネスマン、学生など若い人も多く、今後も人口が増える見込みがある事が魅力です。また、下北沢が近く、周辺住民にミュージシャンが多く、ミュージックバーが4件あり、音楽の街としての側面もあります。 経堂の南口はチェーン店が多いが、自分が開業した北口はまだまだ発展の途上にあり、最近、若い人による個性的な店も増えてきており、これからどんどん人が集まるエリアになると確信しています。店舗前の経堂シンフォニー商店会はまだ新しい商店街なので、「シンフォニー(調和)」の一環として地域と音楽の融合(オーナーはお祭りでストリートライブなども実施している)し、ゆくゆくは経堂発の音楽ブランドやミュージシャンを輩出したいと思います。すでに9月には一流ミュージシャンのレコ発も決定しています。

「面白そうですね!では、ピカピカの店舗のこだわりを教えて下さい。」

まずは、店舗デザインのインスピレーションを得るためにブルース・ジャズの本場シカゴのライブハウスを2週間かけて、回りました。

「そこからですかっ!?」

はい、ファサード、インテリアが中心ですが店内の壁面、カウンター素材・形、ディスプレイ、そして客層など様々な点でインスピレーションを受けました。500枚以上写真を撮りましたね。特にホールオブフェイム(殿堂入り)の写真はほとんどのお店に飾ってありそのお店を特徴づけていました。このアイデアはそのまま頂き、これまでの自分自身が影響を受けたミュージシャンの写真を壁にかけようと考えました。 実際の設計・施工についてはコンセプトでもあるライプハウスの機能(防音)とバーのたたずまい(内装)の共存に苦心しました。徹底した防音にこだわると意匠が損なわれてしまい、バーとしての「おしゃれ感」が出ない。練習スタジオのような無機質な空間は作りたくない。しかし、周辺は住宅地なので防音は避けては通れないミッションでした。そこで防音・吸音・遮音について勉強しました。低い音の振動を防ぐ防音。外に音が漏れないようにする遮音。音が拡散しないようにする吸音。これらをすべて妥協せずにいかに機能的かつおしゃれに見せるか? 一体いくらかかるのか?などビクビクしながら、防音業者探しをしました。実は防音作業は成果物として形には見えない部分がほとんどで、よく完成してから想定以上に音が漏れていたというトラブルが多いのです。私も危うく業者の選択を見誤るところでした。紆余曲折を経てようやく防音業者が見つかり機能性、意匠性を内装デザイナーと具体的に相談した結果、打放しのコンクリ―ト素材と防音素材を融合させながら一番の課題だった吸音壁を三角形の木材パネルで壁面を立体的・幾何学的に囲い、アーティストの音の反響を心地よいものにデザインする事に成功しました。無理難題に応えて頂いた内装業者に感謝しています。この壁面はライブハウスでおそらく初の試みです。壁面ディスプレイやバーカウンターの構造にもこだわっていますよ。

「まだまだこだわりが出てきそうですね」

ええ、その他、店内ディスプレイ、ステージなどのこだわりは実際に内見で見ていただきたいです。

「開業は大変ですね。では、シェアレストランにご掲載頂いた経緯を教えてください」

開業はゼロからのスタートだと融資も難しく、かつ競争も激しい世界です。資金がなくとも開業希望者のトライアルの場を提供し、将来的に成功確率のアップに関与したいと考えました。それが、このお店と同様の発想で経堂発のブランドになれば、うれしいですね。店舗は商店街の1つのピースとして様々な方と繋がる事ができる場です。違うビジネスで、違う客層の方々へのアプローチをしていきたいですね。

「ありがとうございます!では最後に利用者に期待する事を教えて下さい」

煙・臭いがキツくなければOKです。原則、業種業態に制限はありません。低リスクで思い切ってチャレンジして欲しいと思います。ともにがんばりましょう。 店舗/bar PENTA 住所/東京都世田谷区経堂2丁目10−11B1F 席数/21席 利用可能時間/6時-17時 下見希望は「シェアレストランに会員登録後、下記ページ内「内見を希望する」ボタンからご連絡下さい。