【間借りカレーdiggin’特別編】2021年「間借りカレー界」をカレーおじさん\(^O^)/が振り返る!

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2021年から始まった本連載。元はと言えば間借りカレー文化が停滞しはじめていることについてや、間借りカレー営業で注意しなくてはいけないことが一部で守られていない状況を見て、警鐘を鳴らす意味での特別寄稿という形でシェアレストランマガジンさんで記事を書いたのが最初でした。
長いのですが間借りカレーを営む方には是非読んで欲しい内容です。

前編「間借りカレー文化について」
https://share-restaurant.biz/magazine/?p=6242
後編「間借り営業で注意すべきこと」
https://share-restaurant.biz/magazine/?p=7035

その後、間借りカレーの名店や、間借りカレーから独立して実店舗を構えるようになったお店の方に様々な話をうかがい、そのカレーとシェフについて深掘りする形の本連載がスタートしたというわけです。
今回は年末ということもあり、普段の内容と違う特別編ということで2021年の間借りカレー界がどのようなものであったかを総括的にまとめてみたいと思います。 まず、2021年と言えば長引きまくった緊急事態宣言が思い出されます。飲食業界においてこれほどまでに逆風が吹いた事は過去無かったのではないかと思うくらいに悲惨な状況でした。時短営業を余儀なくされ、お酒の提供までNGとなったことにより、多くの飲食店が店を閉め、新規開店する店などほとんど出てこなかった中でしたが、間借りカレー業界は奇跡的に活発だったと言えます。

シェアレストランを介して都内で間借りカレー店舗がオープンした軒数を数えると、2020年は10店舗だったのに対して、2021年は何と23店舗と、このご時世の中でも倍以上の増え方を見せていました。これは間借りという業態自体が盛り上がったというわけではなく、他の間借り飲食店はカレーほど顕著な伸びを見せていなかったそうで、間借りカレーのみが倍以上の増え方をしたということ。

コロナ禍において自宅でスパイスカレーを作る方が増えたことや、レトルトカレーの需要が高まってカレー全体の注目度が上がったということもあるのかもしれませんが、だとしても苦難の状況の中でこれだけの数の店舗が増え、新たにカレーで勝負しようと考えた方が増えてきたというのは非常に興味深い事実です。
シェアレストランを介したお店以外でも、僕の知る限りでかなりの数の間借りカレー店が増えてきています。 本連載でご紹介した「ラナンクルス」、「剛士curry」、「かりす」はいずれも2021年に開店し、既にどこも人気店となっています。
「カリーザハードコア」は今年間借りから実店舗開店したお店ですし、大阪の間借りカレーを代表する人気店である「堕天使かっきー」も間借りのスタイルを変えた店舗を増やし、全国を飛び回ってイベント営業、コラボ営業をしていました。これだけ見ても間借りカレー界の活発度が垣間見えるのではないでしょうか。
また、別業態の飲食店をやっていた方がカレーで新たな勝負をかけるのに間借りカレーという業態を使ったという形も見えてきました。
実際に例を出すと新宿三丁目の「キーマモンスター」は、高田馬場にあったカフェオレ専門店「カフェオレトーキョー」(現在は五反田で間借り移転)のシェフがカレーで新たな勝負を仕掛ける為に開いた間借りカレー店です。 停滞していた飲食業界の中で、自由度が高いからこそ動いていたとも言える間借りカレー業界ですが、一方で間借りカレーだからこその残念な閉店もありました。「ラナンクルス」や「極哩 浜松町店」は、どちらも行列ができる人気店でありながら、間借り先の店舗の一方的な事情によって12月で一時閉店となってしまいます。
間借りカレー店は初めやすい反面、このように間借り先の店舗次第で急遽閉店を余儀なくされることもあるのが大変な所ですが、どちらのお店もポジティブに次に向かっているのでファンとしてはそこが救いです。 今年の終わりには緊急事態宣言も解除され、飲食店にもかなり人が戻ってきたように見えますが、まだまだどこのお店もコロナ前と比べると完全に戻ってはいないという話をよく聞きます。

感染力の強いと言われるオミクロン株も出てきて不安な部分もありますが、今後またそのようなことの繰り返しになっていくのではないかとも思います。前々から言われていることですが、withコロナと言いますか、いつどうなるかわからない中でも生きる為に商売をしていかなければいけないのは飲食店も同じであり、食べ手側としてはその中でどのように外食をしていくのか考えて実行していく段階に来ているのでしょう。作り手側としてはこのようなご時世だからこそ、好きなものを仕事にしたいと考えてカレーで勝負に出るようになった方も少なからずいらっしゃるでしょう。 そんな中で、間借りという業態は可能性を広げる存在です。手軽に始められるからこそ、気を付けなくてはいけない部分は冒頭にリンクした記事の通りですが、しっかりと気をつけながら新たな可能性を模索する方が増えれば、間借りカレー業界のみならず、カレー業界、さらには飲食業界も再度盛り上がっていくことにつながっていくと思います。
2022年、飲食店に活気が戻りますように。そしてまた新たな美味しいカレーのお店と出会えますように!

カレーおじさん\(^O^)/

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレーアディクト。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380
「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!