木工所に現れる週一インド「TOKAI CURRY」

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本日のプレートとデザート
間借りカレー店の間貸し先にも様々な形がありますが、今回ご紹介するのは木工製作所の間借りカレー店という変わり種。
江戸川橋駅から北へ少し歩いたところにあるマンションの地下にある「工作室もくもくはりねずみ」。こちらには併設のカフェスペースがあり、日替わりで様々な飲食店が入っているのですが木曜日の昼が今回ご紹介する「TOKAI CURRY」となっています。 週替わりでインド料理をベースとした様々なカレーが味わえるお店。
この日のカレーはクローブがきいたスパイシーなキーマに、優しいテイストのダルとキャベツのサブジのワンプレート。キーマとダルは王道中の王道ですが、だからこそごまかしがきかないもの。それがどちらもちゃんと美味しく、中心にトマトのサラダがあしらわれているのが見た目にも味にも意味があり、オーセンティックなインド料理と違う個性ともなっているのが素晴らしいです。
デザートのチャイプリンもナッツの食感が良く、満足度を高めてくれるもの。

というわけでTOKAI CURRY店主の尾崎さんにお話をうかがってきました。

カレーおじさん\(^o^)/(以下「カ」と表記):味の良さもさることながら場所の面白さなど色々気になることだらけなのですが、まずは間借りカレー店を始めた経緯を教えていただけますか?
TOKAI CURRY尾崎さん(以下「T」と表記):私は愛知出身なのですが保険関係の仕事についたのをきっかけに上京しました。その後翻訳の仕事へと転職したのですが、しばらくしてコロナ禍で在宅勤務が始まり、外での活動が制限されたこともあり、家でできることを模索していました。そんな中、家族から「体調管理を兼ねてヴィーガンの食生活を試してみたい」という要望がありました。色々とレシピを調べる中で、南アジアの料理には植物由来の食材だけで美味しいメニューが多くあるところ、また食材が無理なく揃えられるところに興味がわいてカレー教室に通うようになりました。ヴィーガンの食生活は半年ほどでやめましたが、カレー作りへの興味は残りました。そんな中で元々飲食業に対する憧れをずっと持っていたのを思い出したと言いますか、ずっと頭の片隅にはあったんですが資金や時間など諸々考えると難しいと思っていたところに、間借りカレー店というスタイルがあることを知り、これならできるかもしれないということでコロナも少し落ち着いてきたところで間借りカレー店を始めました。
カ:そうでしたか。確かに間借りカレー店の存在が東京でも脚光を浴び出したのはコロナ禍の少し前くらいからでしたね。
T:私も年齢的には中高年に差し掛かっており、この年齢でいきなり一から飲食店を始めるのはリスクが高いと感じていました。間借りカレー店について調べてみると、若い方だけでなく中高年の方々もセカンドキャリアとして挑戦している例が少なくないことを知り、同世代として心強さを感じています。 カ:それでこちらの場所はどのように見つけたのですか?
T:実は最初からここではなかったんです。前店舗は駅前の中心部から外れた場所にあり、さらに周囲には人気店が多かったため埋もれてしまいました。また、週3日の営業だったこともあり、当時の自分には固定メニューを提供するのが精一杯で、新しいメニューに挑戦する余裕がありませんでした。もっとマイペースにもっと良い場所でできないかとさらに探して、シェアレストランでこちらを見つけました。今は週1営業なので毎週違うメニューに挑戦できていて楽しいですし、シェアレストランの担当者さんは本当にバックアップしてくれるのを強く感じていてありがたいです。
カ:以前の間借りの際はそうではなかったのですか?
T:はい。以前は内覧時の打ち合わせにさえ担当者は現れず、その後もシステム上で自動的に手続きを促されるのみで、最後まで担当者が誰なのかわからないままでした。幸い当時の店舗オーナーさんからは親身な対応をいただき、店舗側との関係について悩むようなことはありませんでした。
現在お世話になっているシェアレストランさんは内覧時にも担当者の立ち会いがあり、契約開始後も気軽に相談できたりと安心して営業ができています。また、現在の間借り先で他の時間に飲食店の営業をされている方々は会社員など本業を持ちながら各自取り組まれていて、情報交換を通じて自分にはなかった視点を得られ、とても良い刺激になっています。
カ:やはり楽しく料理できないと美味しいものはなかなか作れませんものね。最後に今後の展望などあったら教えてください。
T:私の場合、当初の目標は「飲食店を始めること」でしたが、間借りという形ながら、それを実現することができました。現時点では自分の店を持つ予定はなく、今のペースで続けていければと考えています。現在は、さまざまなメニューを大人数分、安定した味で提供することに課題を感じていますが、それが難なくこなせるようになったら、次の目標について改めて考えてみたいと思っています。 尾崎さんは数多くの有名店のシェフも通ったことで知られる「サザンスパイス」でカレーの基礎を習得されたそうで、だからこその安定感なのかと納得しました。
僕も何度か足を運んでいますがオーセンティックなインド料理をベースとしながら独自の工夫も感じられる料理で数ある間借りカレー店の中でもレベルが高いお店だと思っています。
ちなみに店名のTOKAIとは、尾崎さんの出身地である東海地方と、インドの古い言葉で「孔雀の羽」をあらわし、二つの意味を持っているとのこと。
独創的な場所でいただくカレー。一味違う美味しさですよ。

店舗情報

 店 名 TOKAI CURRY(トーカイカレー)
住 所 〒112-0005 東京都文京区水道2丁目3−21 久保田マンション B1「もくもくはりねずみ」内
営 業 木曜日 11時00分~14時LO
Instagram https://www.instagram.com/tokai.curry/

カレーおじさん\(^O^)/

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレーアディクト。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380
「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!