【間借りで復活】実店舗から移転した個性派「フランスカレー」とは?

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間借りカレーというと独立して自分の店を構える前の準備段階として営んでいる方が多いのですが、中には元々ご自分のお店を構えていたものの様々な理由で間借り形式に変わったという方もいます。今回ご紹介する「フランスカレー」も、元々は東大前で実店舗営業をされていたのですが、育児が多忙となって一時閉店。その後育児が一段落ついたところで間借りカレー店として再開したというお店です。
一段落ついたとは言えまだまだ育児中ということもあり、営業日は毎月の最終金曜日と祝日(不定期)という限られた日数。営業がなかなか定着していないにも関わらず、営業日は毎回大盛況となっています。
現在のメニューは主にフランスカレーパリカレーの2種(日によってフランスカレーのみの日もあります)。フランスカレーはパリの五つ星ホテル「ル・ムーリス」のスーシェフから教わったプレ・オ・キュリーというカレーを日本人向けにアレンジしたもの。野菜の粒子を感じる優しい味わいのグレイビーはバターによる奥深さも感じさせ、柔らかいチキンがたっぷり。ナッツやドライフルーツが振りかけられていてフルーティさもあり、大人から子供まで楽しめるカレーです。 パリカレーは実店舗営業時代にアルバイトで入っていたフランス人男性の「カレーにベシャメルソースをかけてみたら?」というアイディアから生まれたカレー。ラムの挽肉を使ったドライカレーにベシャメルソースがかかった個性的なカレーであり、他では味わえない美味しさです。
どちらも熱々で提供されるのも良いです。カレーの温度はとても大事ですから、そのあたりにも心遣いとこだわりが感じられます。
そんなフランスカレーのシェフ、ロチエ美奈子さんに色々とうかがって来ました。 カレーおじさん\(^o^)/(以下「カ」と表記):元々実店舗で営業していたのが間借りとなったわけですが、他に無い個性的なカレーが誕生した経緯にも興味があるので実店舗スタートから含めてフランスカレーの歴史を教えていただけますか?
フランスカレーロチエ美奈子さん(以下「フ」と表記):はい。まずカレーのお店を出そうと思ったきっかけは最初の子の妊娠中にフランス人の旦那とカレー対決をしたことなんです。その対決で旦那が作ってくれたムール貝カレーに感動し、このムール貝カレーをお店で出したいと強く思ったのがきっかけなんです。
カ:へー! 旦那さんは飲食業の方なのですか?
フ:違うんです。料理は趣味で、仕事は3Dアニメーターです。
カ:そうなのですね。そしたら美奈子さんが飲食業だったということでしょうか?
フ:それも違うんですよ。私は元々理容師でした。ただ焼鳥屋でアルバイトしていたことがあり、その際に主人と出会ったんです。
カ:そうでしたか。いきなり面白い展開ですがその後の流れも教えてください。
フ:はい。お店を出そうと色々な場所を探したのですが東京は家賃が高くてなかなか良い物件が見つからず、やっと見つかったのが以前の実店舗。東大農学部の目の前にある物件で、築150年というボロボロな建物だったので賃料が予算内だったことと、煉瓦造りに一目惚れして改装して開店しました。ただ、場所的にムール貝カレーに白ワインを合わせて…という雰囲気でもなく、もっと気軽に食べられるものをと考えていた時にル・ムーリスの副料理長が現在のフランスカレーの元となるレシピを教えてくれたんです。それをメインにお店をスタートしたのが2014年。お店がスタートした頃から一人目の育児と並行していたのですが、2021年に第三子が誕生しまして、3人も子供がいると予測できない事態が沢山起こってしまい、始業時間に間に合わないということも出てきてお客様へ申し訳ないと思い、育児が少し落ち着くまでは一度休もうということで泣く泣く閉店したという流れです。
カ:なるほど。それがまた間借りで再開というのはどのような経緯があったのでしょうか?
フ:育児しながらもまたカレーのお店をやりたいという思いはずっと持ち続けていたんです。そんな中で第三子が1歳になり、少し落ち着いたところで現在間借りしているルーラルコーヒーさんからお声かけいただき、これはチャンスだと思って始めました。ただ、まだ育児もありますから営業日程は少なくし、一人では不安だったのでママ友にお手伝いをお願いしながら何とか今の形で営業できています。
カ:確かにこの広さで大盛況ですからお一人では大変ですよね。女性スタッフさんが多いなと感じていたのですがママ友さんでしたか。
フ:そうなんです。子育て中のママさんにも働きたいと思っている方は多く、ただフルタイムは厳しいということもあり、短時間で少ない日数で働けるというのは間借りだからこそかなとも思います。
カ:間借りの良さの一つですよね。毎度大盛況のフランスカレーですが、年内の営業は11月25日(金)が最後と聞いたのですが、これはなぜですか?
フ:実はゴーストレストランとしての営業を準備しているんです。
カ:ほう! ウーバーイーツですか?
フ:はい。実店舗時代もウーバーでの営業をしていたのですが、間借りスタイルにも慣れてきたのでこの形でウーバー再開したいと考えまして、まずはそちらに集中する為にも11月25日で一度店舗営業はお休み。その後すぐ11月末からウーバー営業を開始し、そちらにも慣れるであろう来年の2月くらいからまた店舗営業も再開し、どちらも続けていければと考えています。
カ:そういう流れでしたか。楽しみですね! 今後の展望が他にあればそれも教えてください。
フ:今のカレーもですが、お店をはじめるきっかけとなったムール貝カレーを世に広めたいというのが今もあるので、まず今の形でムール貝カレーを出すにはどうしたら良いか色々と考えています。そして実店舗、さらにはフランチャイズ展開もして、お店の数を増やしていきたいという夢を持って、これからも頑張っていきたいです! ポジティブに力強く頑張っている姿を見て感銘を受けました。育児だけでも飲食店の運営だけでも大変なのに、どちらもこなせてしまうのは、その前向きな精神からくるバイタリティあってこそです。そして多くのママ友が手伝ってくれているというのも美奈子さんの明るい人柄あってこそでしょう。
年内の店舗営業は25日まで。その後のウーバー営業は現在の店舗から近いエリアで対応可能とのことです。他に無い面白いカレーであり、他の間借りカレー店にもなかなか無い営業形態ですので、気になった方は是非食べに行ったり、ウーバーで頼んでみてくださいね。

店舗情報

店 名  フランスカレー
住 所  東京都文京区向丘1丁目16−17 ルーラルコーヒー内
営業日  月末金・不定期祝日
営業時間 11時〜13時(L.O)
Twitter  https://twitter.com/@currydefrance
Instagram https://www.instagram.com/currydefrance/

カレーおじさん\(^O^)/

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレーアディクト。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380
「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!