【炎上騒動から考える】飲食店が守るべき衛生ルール

171
カレーおじさん\(^o^)/とシェアレストラン武重さん(右)
先日某TV番組で間借り飲食店が取り上げられた際に、仕込みの一部を自宅でしている映像が流れ、有識者から「それは食品衛生法に違反する行為だ」と取り上げられてSNSが炎上した事がありました。
その後、件の間借り飲食店主は自ら保健所へ行きことの経緯を説明し、注意と指導を受けたということです。
数年前にも間借り営業で注意すべきことを記事にまとめたのですが、
https://share-restaurant.biz/magazine/?p=7035
こちらを注意喚起として再度僕のSNSに投稿したところ、大きな反響がありました。

そこで今回はシェアレストラン代表の武重さんと共に、改めて飲食業で気をつけなければいけないことは何か、対談形式でまとめたいと思います。
対談の場所を提供してくれたのは神田カレーグランプリ受賞店であり、シェアレストランの間借り飲食店第1号を新宿でスタート(現在は閉店)したカリガリの秋葉原総本店
名物のアキバ盛りカレーをはじめ、4月末までは僕とのコラボメニューであるマーラムトンキーマも限定販売中ということで、シェアレストランとも僕とも縁の深いお店で、どのカレーも美味しい名店です。 カレーおじさん\(^o^)/(以下「カ」と表記):まず今回の件のきっかけとなった「家で仕込みをするのはNG」という部分ですが、間借り営業をスタートしようという方は食品衛生法を知らない方が多いものなのでしょうか?
シェアレストラン武重さん(以下「シ」と表記):そうですね。飲食業の経験が全くない方も少なからずいるので、シェアレストランでは間借り店主さんに最低限「食品衛生責任者」の資格は取ってもらうように伝えています。講習をしっかりと受ければ何に気をつけるべきかはわかってくると思います。今回の件で間借り店主さんがそれを持っていたかはわからないのですが、オーナーさんの責任もあると思うんですよ。
カ:確かにそうですね。今回の炎上では間借り店やそれを放送したTV番組が叩かれていましたが、むしろTV番組の制作は番組を作るプロであって飲食のプロではないから食品衛生法を知らないのもいたしかたないですし、間借り店主も経験や知識が少ないまま飲食業界に飛び込んだ方かもしれませんが、オーナーは飲食店を営業されているわけですからある程度のことはわかっているはずで、本来ならこのようなことが無いように注意しないといけない立場ですよね。
シ:はい。今回の件とはまた別ですが、間借りでしばしばあるのが何かトラブルが起きた際にオーナーが知らんぷりするということで、以前も地方の間借り店がカンピロバクターの食中毒を出した際、オーナーは勝手にやられたことだからと逃げたんです。それで間借り店主さんがダブルパンチくらってしまったと。
カ:酷いですね。借りる方も貸す方も同様に責任感を持たなければいけないのに。そもそも食中毒に関しては間借りに限らず全飲食店がしっかりと注意し対策をとらないといけないはずですが、時折衛生環境良くないなと思うお店に出くわすことはありますね。
シ:そうなんです。ミシュラン掲載店が食中毒から食品衛生法違反で逮捕となった事件も過去にあるくらいですから、美味しいかどうか、有名かどうかとはまた違う問題で、今回の件を機に改めて全飲食店が気をつけなければいけません。カレーおじさん\(^o^)/の注意喚起の記事はもう5年以上前になるのですが、あの後にHACCP(※「ハサップ」と読む。原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程で、食中毒や異物混入を防ぐ為に重要な工程を連続的に管理、記録することで安全を確保する衛生管理手法)が義務化されたのですが、それを徹底していないお店も少なくないと聞きます。吉野家など大手企業によるチェーン店ではそれをルーティンとして各店舗に徹底していますし、多くの企業がそうだと思うのですが、個人店だとそれをやっているのかどうか監視する人がいませんから。
カ:なるほど。ただでさえ大変な飲食業に一仕事増えるわけで、それをサボりたくなるのは心情としてはわかりますが、もしそれで食中毒が出た場合、そのお店が営業停止になったり逮捕されるのはある意味自業自得ですが、それ以上の大問題に発展する可能性を想像しないといけませんね。
シ:そのとおりです。大袈裟ではなく以前にもそういう事案はありましたから。
カ:昔は多くのお店でレバ刺しが食べられたのが、ある店舗がO157による食中毒で死者を複数出し、それをきっかけに法律が変わって今ではほとんどのお店で食べることができなくなってしまった件が思い出されます。亡くなった方への責任のみならず、食文化を潰してしまったという責任もあります。それがたった1人、たった1店舗の怠慢で起こりかねないのが本当に怖いところです。
シ:だからこそHACCPの徹底を見直すことも重要ですし、誰かの監視を入れるという意味でも間借りは良い面があるんです。
カ:と言いますと?
シ:オーナーさん側が他人に貸すならということで今まで以上に掃除をするようになったとか、逆に間借り店主さん側が借りた時点以上に綺麗にして返すようになったとか、そういうことをよく聞きます。これも誰かの目が入るからお互いに気をつけようという気持ちに繋がったからこそだと思うんです。
カ:それはあるでしょうね。友達が来るとなったら部屋をいつも以上に片付けて掃除する感覚にも近いかもしれません。ただ飲食店の場合はその感覚ではなく、お金を払ってくれるお客様が日々来るわけですから、毎日しっかりと気をつけなければいけないということを改めて考えねばなりませんね。
シ:はい。それと、今回の件とは少し外れるのですが気になっていることがあります。それは、実店舗を持っている方が間借りを下に見ることが少なからずあるということです。
カ:確かにありますね。そりゃリスク背負って最初から大金投じて自分のお店を持った方は立派だと思いますが、間借りからスタートして成功した方も同じように立派ですもの。
シ:そうなんですよね。食べる側としてはここが間借りなのか実店舗なのかってあまり気にしない方が多いと思うのですが、お店の方で実店舗マウントを取ってくる方が時折いるのがどうなのだろうって。間借りというのは家賃高騰のご時世の中で、実店舗サイドとしては間貸しすることによってその負担を軽減できるシステムでもあり、間貸し側も間借り側も持ちつ持たれつの関係性で、どちらが上ということは本来ないですし、そのシステムも使うも使わないも自由ですが使っている人を悪く言うのは違和感があります。
カ:リスク背負って実店舗構えたんだという誇りを持つのは素晴らしい事ですが、間借りというシステムを上手に利用して成功したお店もベクトルが違うだけで同じように素晴らしいわけで、比べるところではないです。比べるべきはまず第一に安心して食べられるお店かどうか、そして美味しいかどうか、最後に接客が良いかどうかだと僕は思います。また話が戻りますが食中毒に関しては間借りも実店舗も関係ないですしね。 今回の件で「これだから間借りは…」というような意見を目にすることもありましたが、先述したように間借り店主だけが悪いわけではありません。
確かに経験や知識が少ないからこそ起こったことではあるかもしれませんが、間貸しオーナー側もその可能性と危険性を考えた上で貸さないといけないのです。
みんなやっているから良いのではなく、正論を言うならみんなダメ。建前ではなく個人的な本音を言うのであれば、何かあって法的に全部ダメになる前に、みんなで気をつけようねという話。
実店舗、間借り問わず、食中毒に対しては何度でも改めて注意しないといけない事柄。個人的には鳥刺しやレアチャーシューを出しているお店にも特に気をつけてもらいたいです。
たった1人の怠慢をきっかけに人の命を奪う可能性や、法改正がなされて古くから続く食文化やチャンスとなりうるシステムが潰えてしまう可能性を常に考えて行動しないといけません。
最後にHACCPについてもリンクしておくので、飲食に携わる方はこれを機に再確認してください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html

店舗情報

店 名   秋葉原カリガリ総本店
住 所   東京都千代田区外神田3丁目6−9 沖村ビル 1階
営業日   月~金 11時30分~14時30分, 17時00分~22時15分、土日 11時00分~22時15分
HP https://www.caligari.jp/

カレーおじさん\(^O^)/

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレーアディクト。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380
「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!