「間借りカレーdiggin’」\(^o^)/1
~ケニックカレー~
ここ数年で認知度も高まり、数も増えてきた「間借りカレー」という業態。今回から始まるこの連載では、間借りカレーの人気店や、間借りカレーで人気を得て独立したお店について、そのカレーはもちろんシェフやお店の特色までしっかりと深掘りしていきたいと思っております。
“diggin‘”とは、本来の「掘る」という意味の他に、スラング的に「好き」「夢中になる」「理解する」「探す」という意味も含まれています。本連載では僕も大好きで夢中になっている間借りカレーという文化について、探し、深掘りし、理解してもらえればと思っております。
記念すべき連載第一回目は、東京においてはまだ間借りカレーという業態があまり知られていなかった頃からスタートして人気店となり、現在は渋谷で実店舗を構える「ケニックカレー」をご紹介しましょう。
ケニックカレーのシェフ小菅さん(通称ケニックさん)はプロダクトデザイナーとして活動していた方。そんな方が何故カレーの世界に踏み込んだのでしょうか?
カレーおじさん\(^o^)/(以下、カ):ケニックさんが間借りカレーを始めるようになった流れ、改めて簡単に教えてください。
ケニックさん(以下、ケ):専門学校時代、小料理屋の跡地に住んでいて、そこが仲間達のたまり場になってたんです。その仲間達に色々料理作って出してたんですが、その中で好評だったものにキーマカレーがあって。それがカレーの最初ですね。元々はデザイナーとして仕事をしていて、軌道にも乗っていたんですがある時ネタ切れになっちゃって、気分転換という意味でも何か新しいことを始めてみようかなと考えていた時、友達が営業していたバーの昼間が空いているということを聞き、良いタイミングだと思ってそこで間借りしてカレーのお店を始めました。カ:ケニックカレーと言えばキーマカレーと魯肉飯ですが、魯肉飯を出そうと思ったのはどういう流れですか?
ケ:人生に迷っていた時期に、海外へ行き来していた先輩と話したらとにかく海外へ行けと言われて。ただルールがあって、宿に泊まっちゃダメとか飲食店に入るなとか、そういう制約のある旅をしてみろと。カ:無茶ですよね(笑)
ケ:はい(笑)。でも、それくらいしたら迷いからも吹っ切れるかなと思って、ほとんどお金も持たずに台湾の台南へ行ったんです。それで台南にあった大学のグラウンドに野宿して。飲食店に入るなというルールだったので自炊しようとガスコンロ持って行ったんですが空港で没収されて(笑)、店入れないし自炊できない。どうしようと思ったんですが屋台があったんですよ。屋台なら飲食店の中でもないしギリギリOKかなと思って、屋台で食べた魯肉飯にハマったんです。そこで通っていたお店に手伝うから作り方教えてくれと頼んで、魯肉飯を作れるようになりました。
カ:カレーも魯肉飯も人生の迷いの中で出会ったり、始めたりしたことだというのが非常に面白いですよね。美味いもんは人生を救いますね(笑)
でもそれを合わせようと思ったのは何故ですか?
ケ:イベント的に出店していた時に、日替わりカレーをやろうと思っていたんですが、カレーのネタが切れたんですよ。それで他に作れるものを考えたら魯肉飯があって、そもそも魯肉飯もスパイス使うし、カレーみたいなもんじゃないかと思って出したんです。一緒に食べてみると相性も良い事に気づいて、それがきっかけです。
カ:つまりそれもネタ切れから出てきたアイディアだったと。やっぱり追い詰められてこそ面白いアイディアって出てくるものですね(笑)
話も弾みまずがカレーもいただきましょう。
今回はケニックカレーと魯肉飯のあいがけをいただきました。選べるトッピングはパクチーで。ケニックカレーのパクチー、とても美味しいんです。
僕が「マツコの知らない世界」に出演した際、ケニックカレーをリコメンドさせていただいたんですが、その際ディレクターさんに「マツコさんパクチー苦手で、今までも番組で出たんですが美味しいと言ったことがないんです。」と言われ、どうしようかなと思っていたんですがケニックカレーとパクチーの相性の良さなら苦手なマツコさんでもいけるかもしれないと勝負をかけたんです。
案の定、食べたマツコさんは「あれ? これ、食べられる。合う。え? あたしパクチー克服しちゃったの? なんだか悔しい!」と。
そのくらいにパクチーが合うのです。
重厚な旨味のキーマと、別ベクトルでガツンと来る説得力ある魯肉飯。
それを爽やかに感じさせるパクチーと副菜。
ご飯を豆腐に変えられるのも高タンパク食を心がけている僕には嬉しいポイント。
卓上のレモン水とタバスコも忘れてはいけません。これまためちゃめちゃ合います。 ケニックカレーの素晴らしいところは味もスタイルも進化し続けているところ。
同じ味を守る尊さもありますが、根本はブレることなく時代に合わせて柔軟に変化する姿勢は、アパレルなども手がける流行に敏感なセンスあってこそ。
カ:やっぱり美味しいですね。副菜増えましたね。
ケ:そうなんですよ。この辺は新しい店長が頑張ってくれてて。カ:ケニックカレーと言えば店員さんがアイドルだったりモデルだったりで話題になった部分もありますが、最近キッチン強化してるんですよね?
ケ:はい。「キッチン前田」の竜希君や「いよちゃんカレーはるノよ」のいよちゃんなど、間借りカレーをやってる若い子達にもキッチンに入ってもらってて、経験積んでくれたらなと思う部分と自分も刺激もらったりして面白い化学反応が起きればと思ってます。カ:それは素晴らしい! 間借りカレー界にも良い影響を及ぼしそうですね。
その流れで、間借りカレーを営んでいる方々、これからやろうとしている人達に向けて、間借りカレーをやって良かったことや苦労したこと、アドバイスなどあればお願いします。
ケ:自分は間借りカレーやって良かったと思うことばかりなんですよ。沢山の人達とも出会えたし、自分の店持つこともできたし会社も立ち上げました。だから恐れずチャレンジして欲しいですね。ただ、やるなら衛生面は特に気をつけて欲しいです。自分は始める前に資格を取って保健所に許可を得に行ったんですが、それくらいはちゃんとして欲しいと思います。
あと、カレーは匂いが強いので、そこも借りる先に迷惑かけるので考えて欲しいですね。
カ:では最後に、これから始めたいことなどあれば教えてください。
ケ:夜営業をリニューアルオープンしようと思ってます。カレーだけじゃなくスパイスおつまみやドリンクも充実させて。今の渋谷はコロナでカルチャーが停滞しているので、新たなカルチャーを生み出すような人が集まる場所になればと思っています。
あとは会社の方でアパレルなど別の事業をもっと充実させていきたいですね。
カ:ちょうど近くのハンズでイベントも始まりますしね(笑)
ケ:そうです(笑) カレーおじさん\(^o^)/のイベントが。※ドサクサ紛れに告知させていただくと、2021年5/4〜16まで、東急ハンズ渋谷店B2Cフロアにて、今回3年目となる「Curry & Culture」というを開催します。
名店のレトルトカレーや人気店のTシャツ、その他カレーにちなんだグッズを販売していますので興味ある方は是非!
ケニックカレー、やっぱり楽しいです。
美味しいはもちろん、その先に楽しいがあるお店なんです。
カレーは料理であり、文化です。
これからもカレーの美味しさと楽しさを、若者の街渋谷で発信し続けて欲しい存在です。
2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレー偏愛家。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380