何かで日本一になるということはとてつもなく大変なことです。スポーツ経験のある方は、ご自分がスポーツに取り組んでいた時のことを思い返してください。そのスポーツで日本一だった人を想像すると、とんでもない存在でしたよね。
今回の間借りカレー店は、先のオリンピックでも日本のお家芸のひとつとしてメダルラッシュを見せてくれたレスリングで、6回も日本一を勝ち取ったことのあるスーパーアスリートが店主の新店舗をご紹介します。10月1日に西新宿で開店した
「剛士curry」です。
店主は「
たんぱく剛士」というカレーネームを持つ若きイケメン。カレー・スパイス料理研究家として知られる一条もんこさんの教室にカレー修業の為に通っていた時に、もんこさんご本人から直々にその名を命名されたそうです。
カレーおじさん\(^o^)/(以下、カ):剛士君はレスリングで何度も日本一を取っているスーパーアスリートなわけですが、そもそもカレーにハマったきっかけってどんなものだったんですか?
たんぱく剛士さん(以下、剛):カレーというより、最初はチーズナンにハマったんですよ。高校の頃、地元にあったいわゆるインネパ(ネパール人によるインド風料理やネパール料理などアジア系の料理を手広く手掛けるレストランの通称)の店で食べた時に、「なんて美味しいんだ!」って驚いて、それでその店に通ったんです。その後大学で東京に出てきて、新宿ボンベイでチーズナンを食べたら「これが本物なのか!」ってさらに驚いて。本当によく食べていたんですが、ある日突然小麦や乳製品などのアレルギーを発症してしまったんですよ。
カ:え? チーズナン食べられないじゃん!
剛:そうなんですよ。今は治療の効果もあって時々なら食べても大丈夫になったんですが、当時は本当にダメで。でもチーズナン食べられなくても、カレーは好きだったのでカレーを食べ続けていました。特に試合や練習で心も体もボロボロになった時にカレー食べると元気が出てきて、カレーには救われましたね。
カ:わかります。僕もそうです。では元々食べる人だったのが、作るようになったきっかけは?
剛:大学時代は寮生活だったんですが、アレルギーのせいで寮の食事でよく出てくる揚げ物とかも食べられなくなっちゃって。それでグルテンフリーで体に良いものは無いかと調べていたら、カレーがまさしくそうだったんですね。
カ:確かに。欧風カレーだとルウを使うから小麦粉使用しているけど、インド料理やスパイスカレーならグルテンフリーのものがほとんどですもんね。乳製品使わないで作れるものも多いし。
剛:そうなんです。そこから独学で作るようになって、その後下北沢のウエストサイドカフェというグルテンフリーのお店と出会い、そこでカレーを作るようにもなったんです。並行して一条もんこ先生の教室にも通ってカレー作りを覚えました。ここのお店ももんこ先生の教室に通っていた同門の方からの紹介で借りることができたんです。
醤油麹の健康キーマcurry
剛士curryのメニューは現状1種類。
醤油麹の健康キーマcurryのみです。こちらに卵黄をトッピングするかどうか、カレーを増やすかどうか、ご飯の量はどうするかを選択していくシステムです。
健康キーマに卵黄トッピング。ご飯は150gでカレーは増やさずにオーダーしました。
出てきたカレーを見てにっこり。美しく成形されたターメリックライスとキーマカレーの2層構造。カレーの量も予想より多く、嬉しいバランス感です。
食べてみればさらににっこり。醤油麹による優しい旨味と、自然でほのかな甘味を感じ、それが他のカレーには無い個性となっていました。スパイスバランスも良く、豚キーマでありながら重く感じないのは油の使用量を少な目にしているからでしょう。
副菜も彩りのみならず味的にも意味を持つもの。特にピーマンのピクルスはほのかに甘いカレーに加えると爽やかな酸味と適度な苦味が加わり、より一層美味しくなりました。途中で卵黄を割って合わせて食べればまろやかさが増し、シンプルなキーマでありながら最後まで飽きることなく夢中で食べてしまいました。
メニュー
カ:美味しい! 個性もちゃんとあって素敵です。
剛:ありがとうございます! 嬉しいです!
カ:食べ終わった感じ、とてもヘルシーな印象だし、なんだか元気出てくる感じ。
剛:そこもこだわっています。僕のレスリング人生を通して気づいたのは、心と身体の健康の重要性だったんです。怪我も病気も多くて心身共に落ち込んだ時に僕を救ってくれたのがカレーだったので、
カレーの恩はカレーで返したいと思ってお店を始めたんですよ。僕の作るカレーを食べてくれる人の心や身体を元気にしたいという思いで一生懸命作っています。
素晴らしいです。流石に厳しい世界で何度も日本一を取っているだけあります。僕も昔格闘技をやっていました。レスリングではありませんでしたが、格闘技の世界は本当に厳しく、僕も一生の怪我をいくつか負ってしまいました。しかし、日本一を取るような人って怪我をしても強いんですよ。それにはまず人並外れた努力があり、才能ももちろんあり、様々なことを考えられる思考力もあり、怪我に負けない根性もあり、文字通り
命がけで取り組まないとたどり着けない境地だと感じていました。僕には日本一は取れない。そう思って音楽の道(僕の本業は音楽です)に進んだのです。音楽は芸術ですから何が日本一かを明確にできない分野ですが、スポーツはそれが明確に見えてしまう世界です。そこで日本一を取った男が新たに集中して取り組むカレー。そりゃ美味しいに決まってます。
店内
カ:いやー、これからにもめちゃめちゃ期待しちゃいますよ。今後の展望などあったら教えてください。
剛:とりあえず間借りスタートしたところなのでしばらくこの間借りカレー店を続けていくのが最初なのですが、ゆくゆくは間借りではない店舗の出店やフランチャイズ化もできれば良いなと考えています。というのも、僕はやはりレスリングも好きで、レスリングの指導やスポーツトレーナーも本職として続けて行きたいんですね。だからこそカレーだけを本業にするということではなく、心と身体の健康や食事の重要性を一人でも多くの方に伝えていきたいです。レスリングからも、カレーからも、それができると思うので。食事だけではなく、食事と運動。この二つで様々なアクションを起こしていきたいです。
店頭
間借りカレーを営む理由も色々ですが、たんぱく剛士さんは本業であるスポーツトレーナーとしての立場と、カレー料理人としての立場のどちらも得ることによってより深く心と身体の健康について携わっていきたいというものでした。
カレーは副業と言っても、日本一を取った男が本気になったわけですから、ただカレーを作っているわけではありません。食生活アドバイザー、ビューティーフードアドバイザー、香辛料ソムリエ等の資格も取り、知識的にも健康食のプロと言えるわけです。自身がアレルギーに悩まされた経験から生まれたカレーですから、食品添加物は使用せず、アレルギー27項目のうち使用しているのは大豆と豚肉のみで低アレルゲンを徹底。文字通り美味しくて身体に良いカレーです。健康を気遣う方、元気になりたい方、是非食べに行ってみてください。
間借りカレー界に登場した新たな若き個性。これからの展開にも要注目です。
店舗情報
店 名 剛士curry
住 所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7丁目19−22 ※閉店しました
営業時間 11:00 ~ 15:00(L.O.14:30)
営業日 日、月、火
https://www.instagram.com/tsuyoshicurry/
カレーおじさん\(^O^)/
カレーおじさん\(^O^)/
2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレー偏愛家。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!