間借りにも様々な形がありますが、今回のお店は夫婦間で間借りという面白い形。紆余曲折あって今の形になったのですが、どの場所でも人気を博したものの今月一杯で閉店してしまうという、神田の「
ダルバートシャンティ」です。
まずこちらのお店の歴史から簡単に説明しましょう。ダルバートシャンティは神田にある
スナックシャンティの間借り。スナックシャンティは2015年オープン。スナックとしてもメディアで紹介される人気店です。そのスナックシャンティの姉妹店として2017年に学芸大学でオープンしたのが
シャンティ。こちらはアジアンダイニングという形の飲食店でした。何故スナックの姉妹店で飲食店なのかというと、実はシャンティのママりょうさんの旦那さんがネパール人シェフの、通称ゴルちゃんなのです。
さらに言えばりょうママとゴルちゃんが出会ったのはかつて築地にあったインド料理の名店「
カリカリ」。僕も好きでしばしば通っていたお店なのですが、現在は場所と名前を変えて「
想いの木」として営業していると言えば、カレーマニアの方ならその名店具合がわかるでしょうか。
ゴルちゃんは様々な飲食店で腕を振るった後、独立したのが学芸大学のシャンティだったというわけです。場所柄もあってインドネパール系のお店と思いきや、当時から水牛を使ったりダルバートを提供したりとオーセンティックなネパール料理もあり、中華ターリなど独創的なオリジナルメニューも展開し、ファンを増やしていたお店でした。
2年半ほど学芸大学で営業し、一時閉店。その後スポット的に溝の口のノクチラボで間借り営業。予定通り2ヶ月営業を満了した後にゴルちゃんは一度母国ネパールへ帰り、英気を養ってからまた日本でお店を始めようと考えていたところでコロナ禍となってしまいました。それによってスナックであるシャンティの営業もままならない状態となり、ならばランチタイムに間借り的にカレーをやろうということで始まったのがダルバートシャンティだったというわけです。
基本的には昼はゴルちゃんのダルバート店。夜はりょうママのスナックという形だったのですが、緊急事態宣言や蔓防期間で時短営業せざるを得ない時期は夕方までダルバートのお店として営業していました。神田でも人気となり、ファンが増えてきたところで今回の閉店。一体何故なのか聞いてきました。
カレーおじさん\(^o^)/(以下、カ):3月いっぱいで閉店ということですが、一体何故ですか?
りょうママ(以下、マ):色々な理由が重なったんですけどね。
ゴルちゃん(以下、ゴ):一番は、お母さんが心配で。今、ネパールでお母さんを面倒見れる人がいないの。
カ:なるほど。具合が悪かったりするんですか?
ゴ:そうじゃないんだけど、コロナもあって色々心配で、一度ネパール戻ってお母さん大丈夫の状態作れたら、また日本に戻ってきたり、時々ネパール戻ったり、行ったり来たりにしたいの。
カ:そしたらまたいつか日本に戻ってくる予定があるということですか?
ゴ:戻るよ! いつになるかわからないけど。
マ:そうね。とりあえず向こうで色々とやらないといけないこともあるし、1年以上はかかるんじゃないかなと思って、だったらやはり一度閉店ということにしないとわかりにくいかなと思ったんですよ。
か:そうだったんですね。でもそしたら寂しくなっちゃいますね。
ゴ:私は寂しいよ! でも、この人(奥様)は寂しくないんじゃないの?(笑)
カ:そんなことないですよね!(笑)
マ:そうね(笑) 寂しいよ。ってことにしておきましょうか(笑)
りょうママとゴルちゃんはいつもこんな感じ。夫婦漫才のようでもあり、口では喧嘩してるように聞こえても実は仲が良いといいますか、根底に信頼感があるからこその遠慮のない言い合いがあるのです。そうでなければ色々と大変な国際結婚をするに至らないでしょうし、ママのお店で間借りしているということも仲が良いからこそ。ダルバートシャンティの料理自体も、りょうママの地元北海道の食材を使ったネパール料理というのが基本であり、やはりそれも二人の仲の良さを物語っています。
水牛のビリヤニ
3月いっぱいまでは基本のダルバートに加え、日によってはスペシャルメニューも出すそうです。この日は水牛のビリヤニというスペシャルメニューがあったので、それをいただきました。追加で牛と豚のキーマ。さらにグンドゥルックと鴨のアチャールも加えて豪華に。
グンドゥルックと鴨のアチャール
ゴルちゃんのビリヤニ、溝の口で食べて以来だったのですが、最高に美味しいんです。ダルバートはもちろんなのですが、ゴルちゃんは日本でも様々な人気店を食べ歩いていることもあり、今の日本のトレンドを肌で感じて理解しています。色々な人気店で食べてみて「こういうのが人気あるなら自分ならこう作る」という観点で様々な料理を作っているのです。
グンドゥルックはネパールの発酵野菜。これに鴨をあわせてアチャールにするのもオリジナル。牛と豚のキーマもネパールでは珍しいのですが、日本的感覚でネパール人が作るとこうなるという仕上がりで、実に楽しく、どれを食べても美味しいのです。
牛と豚のキーマ
ゴ:…どう? 大丈夫?
カ:夢中になって食べちゃった(笑) めちゃくちゃ美味しいですよ!
ゴ:良かった(笑)
カ:ところでネパール戻ったら仕事はどうするんですか?
ゴ:地元のブトワルでお店をやりたいと思ってるんだけど、雉とか鶉を使ってね、レストランをしたい。まずはその勉強からするからすぐではないけど、やっぱり料理を作りたいよ。
カ:ブトワルはカトマンドゥからどれくらいの距離ですか?
ゴ:バスだと8時間くらい。カトマンドゥからは時間かかるけど、バラナシからの方が行きやすいかもしれない。
カ:インド寄りなんですね。
ゴ:そう。ブトワルはネパールの六本木みたいなところ。
カ:ほんと?(笑)
マ:また適当なこと言ってんでしょ(笑)
ゴ:ネパール遊びに来ることがあったら連絡してね。その時にはお店やってたら良いけど。
カ:行く時はもちろん連絡しますよ。それにしても紆余曲折あって今回の閉店ですが、今後このシャンティはスナックに戻るということですか?
マ:ご時世次第ですけどね。でもカレー作れる人いなくなるから、カレー屋さんはとりあえず終了で。
カ:夜にカレー出したりはしないんですか?
ゴ:そうなのよ! やればいいのにって言ってるの。教えるよって。でも、めんどくさいって(笑)
マ:無理ですよ。日本のルウのカレーなら作れるけど(笑)
カ:それでも良いですよ(笑) あとはゴルちゃんから比較的作りやすくて失敗しなさそうなのを教わって、せっかくカレーのファンもついたんだし、何かやってくださいよ!
ゴ:教えるよー! できるよ!
マ:そう? そしたら、毎日ってわけじゃなければ。曜日限定とか、気が向いた時にSNSで「今日はカレーあります」とかだったら…
カ:やったー! ゴルちゃん、美味しいの教えておいてくださいね!
ゴ:まかせてー!(笑)
仲良しな二人
この日もちょくちょく口喧嘩まではいかない言い合いをしながらも、最終的には二人とも笑顔。やっぱり仲が良いのです。
しかしそんな二人の姿を見れるのもとりあえず今月まででしばらくおあずけとなってしまいます。3月いっぱいは日によって夜営業することもあるそうなので、お店のSNSをチェックして是非一度行ってみてください。絶品ダルバートを食べるも良し、スペシャルメニューを楽しむも良し、できればどちらも味わって欲しいお店です。
レギュラーメニュー
本日のメニュー
店舗情報
外看板
内観
今月で終了のお知らせ
店 名
ダルバートシャンティ住 所 東京都千代田神田鍛冶町3-3-21晴花ビル5階 Shanti
定休日 日曜・祝日休み
営業時間 11:30-15:00 (月〜土) 17:00-20:00(月〜金)
【お知らせ】2022/3/31(木)をもって一旦営業を終了します。
再開の日をお楽しみに!
https://www.instagram.com/dalbhatshanti/https://www.facebook.com/dalbhatshanti/
カレーおじさん\(^O^)/
2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレーアディクト。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!